今回はコラム的な感じで
イマーシブシアターを語っていきます。
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「イマーシブ」という単語を知ってちょうど1年が経ちました。
ニューヨークのミュージカル以外のエンターテイメントを調べていたときです。
オフブロードウェイをはじめ、自分が作りたいエンターテイメントの参考にしたいと思い、
なにか新しいエンターテイメントをやっていないかと探していました。
特に参加型のショーを知りたいと思いました。
ミュージカル以外だと、STOMPやブルーマングループといった既に有名なコン
テンツ、
フエルサブルータという最近、日本でも話題になっているコンテンツ、
「ガジリオン・バブルショー」というシャボン玉のショー。
参加型とはいえ、ステージと客席が分かれている
大勢の観客に対してのパフォーマンスでした。
求めているのとは違うと思っていた時に、見付けたのがsleep no moreでした。
普通の人だったら、紹介の文章を読んだだけだと、どんな内容かわかりづらいかもしれません。(そーでもない?)
わたしは、すぐに想像が出来たし、理解しました。
なぜなら、自分がやりたいと思っていたことだったから。
自分が想像していたことを、実際にやっている人たちがいる。
初めてsleep no moreを知ったとき、そういう印象でした。
それは衝撃でした。
そしてsleep no moreについて検索すると、
「イマーシブシアター」という単語にたどり着いた。
なにより、「自分がやりたいこと」を、今までなんて説明したらいいかわからなかったのが、
これからは「自分がやりたいことはイマーシブシアターだ」と言えるという事が嬉しかった。
sleep no moreの主宰者は「イマーシブシアター」という単語を使っていないが、
「イマーシブシアター」という位置づけでいいんじゃない?みたいな感じで
周りの人たちは言っていたから、わたしの中でもそういう認識。
sleep no moreも、なんて言っていいかわからないから、
とりあえず「イマーシブシアター」って言っておくね、みたいな感じ?
そっからイマーシブシアターについて調べる。
本場のイマーシブは一切体験していないが、
世にあるイマーシブについて知りたい、機会があれば体験したいと思うようになる。
sleep no moreに夢中になっている人は
きっとsleep no moreを体験してるから夢中になっているのだろうけど
1度も体験していないのに夢中になってる人って
自分くらいじゃないか。
sleep no moreのレポは増えているし
それで想像が付いてしまう。
その距離感が、どれだけドキドキ出来るかと言うのも
なんとなく想像が付く。
わたしはディズニーのショーのファンと同じ心理であるのだろう、と考えている。
ディズニー(主にパレードやハーバーショーなどの劇場以外でのコンテンツ)の出演者と観客は、
距離感が近いことから、完全に1対1のコミュニケーションが成立する。
どういうことかというと、ある一人の観客に狙いを定めた出演者は、
その人だけに対して手を振ったり、アイコンタクトをしたり、
ポーズを決めたりする。声をかけたり絡んだりする。
対象となったその観客にとってはそれがたまらなく嬉しくて、
他の観客と比べて特別感も味わうことが出来る。
誰に当たるかわからない、運とサプライズ要素も兼ね備えることで、「不平等」というイメージにもならない。
観客の中に誕生日シールを付けている人が居たら、その人だけに「ハッピーバースデー」と祝う事だって出来る。
もちろん熱狂的なファンになってしまえば、この距離感なら出演者にファンからアピールが出来るし、
それによって顔を覚えてもらう事だって可能だ。
ちなみに、これはダンサーの事だけを言っているのではない。
キャラクターもしかりである。
もちろん全体に向けてのパフォーマンスもあるが、特定の誰か一人に対してもアクションをすることが許されている。
ミッキーから、
「誕生日おめでとう」的な合図を送られて、ぽかーんとしていると
「キミだよ、キミ!キミ!」と、容赦なく特定の一人に指を指しまくるということもあるだろう。
もちろんミッキーは人気があるから、並びさえすれば1:1でコミュニケーションが取れる施設もある。
ディズニーはエンターテイメントの中でのコミュニケーションの時間を非常に大事にしている。
ショーのダンスの振りの中でも「フリーグリーティング」といって、観客とコミュニケーションを取る時間を必ず入れている。
これは、ディズニーのショーをよく観る人なら、気付くことであるが、
そのグリーティングの導入が観客の満足度を左右する。
同じ振りをただ踊るキャラクターやダンサーは、機械と同じである。
「人間らしさ」「アドリブ」「コミュニケーション」が垣間見れるから、それが一気にショーのクオリティ、満足度、リピーターに繋がるのだ。
キャラクターと記念撮影の時間だって、観客とのコミュニケーションを大切にする。
アトモスフィア、シアターアトラクション等でも、客いじりを頻繁にする。
普通の演劇と違って、観客の構え方が違うのはもちろんだが、
普通の演劇では煙たがられる客いじりも、ここでは「絡まれたい」という心理に変わる。
というか、最近はディズニーの客いじりのお陰か(?)
観客がいじられることに慣れてきている感じがある。
それが、昨今のエンターテイメントを変えてきているというか、
構って欲しくないと思っていた観客が柔軟になってきたように感じるのだ。
SNSなどで個人が世に出る時代になったというのも理由のひとつだろう。
昔の日本に比べたら「出る杭」も尊重される時代となり、
周りの目というのが気にならなくなったのかもしれない。
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ディズニーのエンターテイメントでの、その1:1もしくは少数:少数といったコミュニケーションで生み出される幸福感、特別感、というものが凄く価値のあるものだと思っていたから、自分もそういった要素のあるエンターテイメントを作りたいと思っていて、日頃からそんなショーを想像していた。
だから、sleep no moreで、たまに役者さんと1対1になる、とか、少数:少数になる、もしくは演者が多いけど観客は一人、というような状況の時に観客がどのような気持ちになるかと言うのは想像が付く。
それが数分にも渡る芝居やダンスともなれば、気絶するほどの興奮であるというのもわかる。
そしてそれが結果としてリピーターを生む、ということも知っている。
いかに「距離感」の与える効果が凄い影響力がある事かを学んだ。
観客の一人一人の満足度が遥かに違うのだ。
「出演者側から認知されている」と思わせることで、観客の心理はだいぶ変わってくる。
それに気付いたときに、まず想像したのがこんな内容だ。
テーマパークには乗り物に乗って様々なシーンを見るアトラクションがあるが、
そのシーンひとつひとつを本物の人間がやったら、どんだけ楽しくなるんだろうって。
「カリブの海賊」「スモールワールド」よりは「ピノキオ」「白雪姫」「ロジャーラビット」「プーさん」といった乗り物を想像していただきたい。
こちらは、2人~5人ほどのグループで、様々なシーンの部屋へ行き、芝居やパフォーマンス、コミュニケーションを楽しむ。
観客自身が物語の登場人物であり、より世界に没入することが出来る。
他にはこんな想像もした。
これはまさにsleep no moreなのだが、土日や祝日といった会社が休みの日に
どこかのオフィスを借りて、ミュージカルが出来ないかな、とバカな考えをしたことがあった。
観客は就活している設定で、「会社紹介」という名目でやって来て、会社の様々な部署の部屋を巡る。
そこで、体育会系の営業社員たちのナンバーだったり、上司と秘書の不倫現場を覗き見したり、電話を使った事務職員たちのナンバーだったり、っていうのを楽しめる。
びっくり、これ考えたの、多分大学の就活してるとき?今から約10年前、20代前半の頃に考えていたというのは間違いない。
今考えると、間違いなくイマーシブシアターなのである。
そんなのを10年前からいくつも考えていたものだから、当時は本当に妄想レベルだったけど、
今となっては、「やりたい!」という気持ちが強いなぁ。
まとめると、「イマーシブシアター」は長年自分がやりたかったことだったから、
並々ならぬ情熱をもっているということ。
そして、自分の演劇の興味に対する判断基準は「距離感」であるということ。
「距離感」が近い演目だととても興味を持つ。
一般的な劇場公演は興味を持たない…。いくら観客参加型とうたっていても、あまり興味が出ないようだ。
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